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第124話 二人はやはり親密だった。

朱墨は肩が重くなるのを感じた。

視線を下ろすと、小さな女性が寄り添うように休んでいて、すでに眠っていた。

これは初めて誰かが彼の肩に寄りかかってきたことだった。

朱墨の瞳色が徐々に濃くなっていく。押し払おうと思ったが、その顔を見ると、躊躇してそのままにしておくことにした。

......

30分後、車が停まった。

翔が声をかけた。「社長、到着しました」

朱墨は軽くああと言った。「一清先生、家に到着した」

「一清先生、起きてください」

一清は眉を寄せ、うめき声をあげた。まるで夢を見ているかのような様子だった。

「藍星、ごめんね。ママもうちょっと寝させて」

それを見て、朱墨は複雑な表情になった。

車外を見渡し、また女性の方を見つめ直した。最後に、瞳に光が輝いた。

彼は身を乗り出し、直接一清の腰を抱えて抱き上げた。

翔が車から降りていた時、目にした光景はこれだった。

彼は息をのみ、驚いた表情を見せた。

これ、これは、本当に彼の目の錯覚ではないだろうか。

長い間、朱墨に連れてきて、朱墨が誰かと親密になるのをこれまで見たことがなかったのだ。

しかも、朱墨自ら一清先生を抱え上げているなんて。

翔は、さらに信じられない気持ちになった。

一清の家に着くと、あまりに遅かったので、既に二人の子供は寝てしまっていて、濱田夫人が待っているだけだった。

ガチャ——

音に気づいた濱田夫人が急いで立ち上がった。

「清ちゃん、帰ってきたの?」

話し終わると同時に、朱墨が一清を抱えて入ってくるのが見えた。

濱田夫人は驚き、早速尋ねた。「清ちゃん、どうしたの?」

こんな深夜に、誰かに抱えられて帰ってくるなんて、心配するのも無理はない。

朱墨は説明した。「おばあさん、大丈夫です。一清先生が少し酒を飲みすぎて、今は眠っています」

それを聞いて、濱田夫人ほっとした。

彼女は思わず言った、「一清、本来酒に強くないのに、なぜ飲んでしまったのかしら」

「ご惑をお掛けしてごめんなさいね、栗原社長、清ちゃんを部屋に運んでください」と言った。

そして、濱田夫人は朱墨と一緒に部屋に入っていった。

朱墨は一清をベッドに寝かせると、部屋を出ていった。

「栗原社長、本当にありがとう。こんな遅い時間なのに、これ以上は失礼になるわね。また遊びに来てください」

朱墨は
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